カバ騎士

『すんちゃん遊ぶ@色んなカバに溢れてる地球』で〜〜す!

カバ騎士のお話だよ。  kaba騎士。

kaba騎士。

泥の鎧の騎士。  呪いを浴びて、容貌と鎧が泥とクソまみれになってしまった。

泳げなかった騎士が、今では水中でも闘えるようになったのだけが幸いだった。

呪いの恩恵は、もう一つあった、多言語使いになったということだ、しかしながら、話せて理解できるのは、泥と森の生物たちの言語ばかりで(土語、泥語、沼語、くそ語、フンコロガシ語(虫)、森の枯れ葉語、などなど、詳細は別ページで、巻末の備考を参照されたし)、

人間語は一つも話せない、発音できない、聞こえない、となってしまった。 たまに、耳の中に泥が詰まっていな時だけ人間たちが話す言葉の切れ端が聞こえたので、理解できた、 聞こえさえすれば、理解できるのだと気付いた時の、騎士の喜びようときたら。。 ですがですが、騎士Kabaの耳の中に泥が入っていない時など、稀なる稀であったので、滅多に人間たちの声も言葉も聞こえなかったのでした。

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騎士にかけられた呪いのお話。

騎士が、こちらの王国に騎士としてスカウトされた時、騎士は初めて謁見した王女のことを好きになってしまった。これと同じ時に、王女の叔母であり、呪い術師であるnoro ノロ叔母が、騎士に一目惚れしてしまったでした。が、騎士は王女にしか目もくれないので、この、ノロ叔母、嫉妬心に駆られて、ついついこの騎士に呪いをかけたのでした。

見初められた王女、まんざらでもなく、この騎士のことを気に入ったのですが、騎士が王女を思うほどには王女は騎士のことを思っていませんでしたので、王女の心は、騎士の呪いを打ち砕くだけの力がありませんでした。

よって騎士としては、その呪いを解くだけの力を持つ、森の中に棲む魔法使いに助けてもらえるか、

あるいは、

騎士のことを心底思ってくれる誰かを見つけるしかありませんでした。

ところでところで、

この王国は度々戦に巻き込まれたのですが、その度に、どこからともなく現れて、この王国の危機を救った騎士がおりました。

その騎士とはもちろんこのKaba騎士です。

泥にまみれて、ずんぐりとした体型、くそ臭いのですが、その剣さばき、その頭突き、その身のこなし、水中へと泥沼の中へと敵たちを引きずり込んで打ち負かす戦いざまは、もう見事としか言いようもなく、

ほどなくその王国の語られ草となったのでした。

異様な容貌、悪臭、目の中に宿る泥の中の夜光虫のような光。

kaba騎士の風貌は、気味悪さと同時に、異様な美しさを放ってもいました。それとは、泥にまみれながらも青緑色にテラテラぬらぬらと光り輝く鎧が、魅惑的でもあったからです。

騎士は、普段は沼地の岸辺か泥水の中で、暮らしているのですが、この王国に侵略や戦が起きそうになると、早々とのっそりと、現れるのです。

騎士が、王国の危機が起きるたびに現れることに気づいたある少年少女の二人が、その旨を伝えたんですね、王様に。

すると、どうしてもカバ騎士を城で雇いたいと考える王様は、危機茶番をしました。

どこからともなく(いえいえ、王国の国堺にある沼地から出立してきたんですよ)、カバ騎士は現れ、王国を助けようとしました。

ところが、カバ騎士は戦う間も無く、城の中におびき寄せられ、捕まってしまったのです。

カバ騎士は牢屋の中をくそ臭くしながら途方に暮れていましたら、王様が牢屋の前に立ち、牢に入れた非礼を詫び、そして王国専属の騎士になってほしい旨を伝えたのでした。

カバ騎士はもちろん耳の中が泥に詰まっている時でしたので、王様の声も聞こえず、理解もできませんでした。目の前に恋する王女の父王様がいるのだけがわかるばかり。

返答もしないカバ騎士を前に王様は戸惑うのです、いつも王国の危機を救ってくれているのにこの国の専属の騎士になるのはいやなのだろうか。

何も聞こえないカバ騎士はだんまり、ずんぐり、くそ臭く居るだけ。

すると、あの愛しの王女さんが、牢屋の入り口近くまで父王様を呼びに降りてまいりました、王女様の姿をちらりと垣間見た瞬間、カバ騎士の目から涙が。はらり、ホロリ。2筋3筋と落ちてきたのです。

カバ騎士の目にも涙。

涙の筋が垂れたあたりが、人間の皮膚に変化していきました。カバと人間の混ざった容貌に、王様は一瞬怯んだのですが、

もしやこの者、何かの呪いに冒された人間なのかもしれぬ、それならば、呪い解きの術者を呼ぶのだ、と思いつき、お触れを出したのでした。

王国の危機を常に救いしカバ騎士に架けられた呪いを解ける者

探すのじゃ!

そういった術者いるには居るのだが、

このカバ騎士の場合、術(じゅつ)の術(すべ)では救えない、カバ騎士の思いびととふた想い(両思い)になるしかないのです。

え、ここで、王女さんですが、王女さんは、そこまでカバ騎士をおもっていません、まあ、カバ騎士の片思いといったところでしょうか。。

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まだまだ何年も何年も経つのです。

その間、カバ騎士は相変わらず、王国の危機を救い、

平穏無事な季節には、沼地でのったりと暮らしているのでした。

とある昼下がり、カバ騎士が沼地の岸辺で昼寝をしていましたら、叫び声!

左ほほを地べたにつけてウトウトとねむっていたので、左耳の中の泥だけは落ちて抜けてくれていたのでしたよ。

隣国の(敵対国の)お姫様です。

森を馬駆けして遠出して遊んでいましたら、いつの間にか、従者たちとはぐれてしまい、こちらの王国の沼地にハマってしまったのです。

沼地の、底なし沼のへりに(地元民にしか判別つかない底なし沼のありか)、馬ごと落ちてしまったのですよ。

カバ騎士、王国の危機ではなかったものの、目の前で、助けを求める声を聞きましたら放っては置けません、そういう性分なんです。

のったり、どったりと起き出すと、急に俊敏に走り出し、馬の脚ごとグワシと掴みまして、馬もお姫さんも助け出したのでした。

お姫さん、最初は、ゼイゼイと蒼ざめて泣きじゃくっていましたが、しばしのち、落ち着きまして、この目の前の異様な風貌のカバ騎士をまじまじと眺めながら礼を言ったのでした。

「タスケテクレテ、アリガトウ」

カバ騎士はのっそりと頷くと黙ってその場を立ち去るのでした。

姫さんは呆然とその異様な姿を眺めながらも、馬に乗って走りはじめそして、父王に頼んであの騎士に礼を返すのだ、と誓うのでした。

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助かったお姫さんの父王さまは、その騎士は、毎度戦さの邪魔をする隣国の者だ、と憤怒して姫さんが礼を返したい、という願いを聞き入れませんでした。

むしろ、その騎士の居場所を知って、闇討をかけたい、と言うのでした。

毎度、どこからともなく現れては隣国との戦さを邪魔するカバ騎士を、忌々しく思っていたのです。

姫さんは、カバ騎士が父王に殺されると思い、急いでこないだの沼地へと馬を走らせます。

姫さんは沼地にたどり着き、カバ騎士にその旨を必死で伝えるのですが、この時はカバ騎士、両耳に泥が詰まっていて何も聞こえないのです。

目の前で、先だって底なし沼から救い出した普段は見かけない異国の姫さんが必死で何かを伝えようとしているのだけがみて取れるのです。

どんだけ姫さんが必死こいても、カバ騎士には伝わりません、だって聞こえないんだもん!

すると彼方、森の端から、馬の蹄と犬たちの吠え声が近づいてくるのが聞こえてくるのでした。父王だわ!

姫さんは、なすすべもなく、カバ騎士を逃すこともできず、ですがですがその場を去ることもせず、父王たちを迎えることにしました。

父王と、従者たち、父王の騎士たちが、沼地を取り囲みました。姫さんの跡をつけてきたのですよ。

弓の達者な騎士の一人が弓を放ちました、それはカバ騎士の左足に当たりました。

姫よ、どけ!どくのじゃ!その異様なものは我が国の敵なのだ!、どくのだ、姫!父王が叫びました、姫さんは微動だにしません。

嫌ですよ、父おう!、この方は、我が命を救ってくださった恩人なのですよ、礼を返すどころか、命を奪うなんて、嫌です!!!

すると、功を焦った新米の騎士の一人が、毒矢を放ったのです。

それは、姫さんの胸を射抜きました。なぜって、姫さんはカバ騎士の前を動こうとしなかったからですよ。

毒矢は姫さんの胸を射抜き、毒の混じった姫さんの血はカバ騎士の体にも降りかかりました。

すると、

その毒は姫さんのカバ騎士を思う心とともにカバ騎士を包み込み、。。。

すると、

カバ騎士の姿があれよ、あれよと言う間に、変化していくではありませんか。

元の人間の姿に戻ったのですよ、

あの腕利きの人間騎士の姿に。。

その姿を見た姫さんはなぜか、息をしています、姫さんに刺さった矢の毒をカバ騎士が全て吸い込んだので、そして

カバ騎士の体が変化して呪いが解けたついでに、姫さんの毒矢に射抜かれた胸まで再生されちゃったんですよ。

カバ騎士の呪いが解けたときに、両王国にかかった呪いも溶け出しました。

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隣国との諍いをわざと起こしていたノロ叔母の企みまであばかれ、その叔母は底なし沼に突き落とされましたとさ。

もちろんね、その叔母ノロの呪いと悪巧みだけのせいではないんですよ、

その叔母を突き動かした嫉妬芯を操る存在、そしてそして、両王国の成り立ちの以前以前、遥か昔で遥かなる古からの、土地の、沼の

魔力やらなんやら、目に見えるもの、見えないもの、生きてるもの死んでるものたちの存在、

様々な存在たちの葛藤、惑星と星並びの事情、いろんな事情ゆえの出来心、いえいえ出来事ゆえ、なんですよ。

終わり。

『すんちゃん遊ぶ@カバの神秘に満ちている地球』より〜。

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動物のカバさん

@上野動物園

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